今さら絵文字について書こうと思った訳。

近頃「絵文字」が流行ってるらしい、なんて書くと「スタンプ全盛の時代に何を今さら!?」と言われそうなぐらい日本ではちょっと廃れてきてる感のある絵文字だが、流行っているのは日本ではなく海外。「emoji」が流行ってるらしいと書く方が正確だろう。昨年オックスフォード辞典に絵文字が単語として登録されたこともあって、すでに「emoji」は世界に通用する日本語のひとつになっている。

『絵文字(emoji)』がオックスフォード辞典に登録される | ハフポスト

絵文字は2009年のUnicode6.0よりUnicodeに採用されたことでiPhoneAndroidなど世界中のOSに標準搭載されるようになったのだが、スマートフォンの普及が進んだことで日本から遅れること10年、世界中に普及したようだ。アメリカでは2011年頃から絵文字が浸透し始めたようで、昨年には米ビルボードシングルチャートで1位になったケイティペリー『ロアー』のミュージックビデオが絵文字だらけで話題になった。

今年に入ってから頻繁に僕のtwitterやらFacebookに「○○の絵文字を作って欲しい」というリクエストが届くことも海外での絵文字人気を個人的に実感する出来事だ。今年3月には「ホットドックの絵文字を作って欲しい」という請願書がオバマ大統領と僕宛てに届けられているということがウォールストリートジャーナルで記事になった。

ホットドッグの絵文字を―米国で請願書

僕宛に直接リクエストされてもそんな簡単に実現できるわけないのだが、「いくらか遠回りの方法でホットドッグの絵文字への願いを追求している」と文中で察せられているのが趣深い。

6月にはUinicode7.0の公開で絵文字が250種類追加されることが発表されたり、海外で絵文字の新サービスがはじまったりとこの動きはまだまだ何年か続きそうな気がする。昨年、僕が海外メディアから絵文字に関するインタビューを受けた記事が海外でかなり反響があったみたいで、それをきっかけに海外から絵文字に関する取材申し込みも最近多い。

How emoji conquered the world | The Verge

Jeff Blangdonさんによるこの記事は、デザインも含めて本文もおもしろいのだが、コメント欄が絵文字や顔文字であふれているのが海外の絵文字熱を感じられて一見の価値がある。

僕が絵文字の開発に携わったのは1998年春、もう16年も前のこと。絵文字の開発は僕が発案し上司の松永真理さんの理解と協力を得て進めたプロジェクトだったが、基本的に1人プロジェクトだったので経緯やエピソードなどがiモードと違って体系的に残されていない。これだけ世界で絵文字が使われるようになった今、絵文字のルーツをパブリックドメインに残しておかないと何だかもったいない気がして、自分でも忘れないうちに絵文字に関するあれこれを綴っていきたいと思う。